(日経新聞投稿記事)
私は人工知能の研究開発に35年間携わり、自己意思で学習し判断する自律智識の覚醒型人工頭脳理論について2017年に情報処理学会で発表し2018年に特許を取得した。この人工頭脳は非ノイマン型の設計思想を持ち、未来社会の要となる日本で生まれた新しい技術である。
近年内閣府より日本の未来社会構想「Society5.0」が提唱された。この構想は現代のクラウド情報社会(4.0)に続く新たな社会形態であり『サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会』となっている(内閣府HP)。つまり現実社会を常にサイバー空間に写像することで、複雑な社会情報をサイバー空間の人工知能で処理を行い、様々な課題回答を導き出し、現実社会で活用する仕組みである。
ここで重要になるのが従来と異なる能力を持つサイバー空間の人工知能である。この「従来と異なる能力」とは、従来の人工知能のように情報を推論する能力だけでなく、課題解決のために自己の意思判断で学習を行い、新しい課題に対して知識を生成して推論できる、自律意思で動く覚醒型人工頭脳である。これは従来の人工知能アルゴリズムとは異なり、智識が自ら覚醒して意思属性により活性化する連携覚醒のアルゴリズムを持ち、主体学習、成長学習、自己学習、感情推論、意思推論、想像推論などの知的能力を実現する。
従来の人工知能と比べると、同じ質問に対して機械的に同じ回答に導くのではなく、質問者の感情や時所位に応じて適時な回答を行う。解決に足らない情報があれば止まるのではなく、自ら学習を要求して智識を増やす。学習経験が乏しい判断には不明と回答するのではなく、解決に近い智識を自らの意思で集めて新しい智識を生成し回答する。そして人工知能がビッグデータを利用するのではなく、ビッグデータそのものが人工頭脳の智識として活性化する。更に運用面では、従来の人工知能知識が更新される時の停止状態は無く、人工頭脳は常に動き、しかも専用環境を必要としない通常サーバーで稼働できる為、環境コストの省力化に大きく貢献する。
私達はこの人工頭脳に関する多くのプロジェクトを手掛けようとしている。日本の未来社会の技術進歩と経済活用を目的としたプロジェクトに興味を持って頂くと幸甚である。
_
_
人工知能EXPO2021放映ビデオ
『Society5.0に見るビジネスの可能性』(人工知能EXPO2021株式会社アイエムブースで放映)